「新しいシステム開発、今のホームページのサーバーじゃダメなの?」
開発会社からAWSなどのクラウドを提案されて、戸惑っていませんか。
毎月のサーバー代が高くなるのを見て、疑問に思うのは当然のことです。

結論から言うと、小規模なシステムであれば、今のレンタルサーバーでも十分に動かせます。
それなのに、なぜ開発会社はわざわざ別のサーバーを提案してくるのでしょうか。
それは、開発会社が意地悪をしているわけではありません。
システムの「使われ方」や「安全面(セキュリティ)」を考えてサーバー環境を提案しているのです。

この記事では、レンタルサーバー、クラウド、VPSなど、サーバーにはどのような種類があるのかを整理しながら、開発会社がどんな基準でサーバーを提案しているのかを解説します。

専門的な知識がなくても、「なぜこのサーバーを提案されたのか」が分かり、開発会社との打ち合わせで確認すべきポイントまで判断できることを目指します。

1.ホームページのレンタルサーバーにシステムは置ける?

結論:システムの要件次第では置けます

「システムを作るなら、専用のサーバーが必要なのでは?」と思うかもしれません。
しかし、実はそうとは限りません。
現在のレンタルサーバーは以前と比べて高性能になっており、小規模なシステムであれば、ホームページで利用しているレンタルサーバー上で動かせる場合があります

たとえば、エックスサーバーやさくらインターネットのレンタルサーバーでは、PHPなどのプログラムを動かすための環境が用意されています。
そのため、PHPで開発されたWebシステムや、PHPのフレームワークであるLaravelなども、サーバーの仕様やシステムの要件が合っていれば、レンタルサーバーで運用できます

では、なぜ開発会社からAWSなどのクラウドサーバーを提案されることがあるのでしょうか。

「動くかどうか」だけでサーバーを決めているわけではない

サーバーを選ぶときに考えるのは、「そのシステムが動くかどうか」だけではありません。
たとえば、次のような点も重要になります。

たとえば、社内の数人だけが利用するシステムと、一般のお客様が大量にアクセスするシステムでは、必要となるサーバー環境は同じではありません。
また、現在は利用者が少なくても、将来的に利用者が増えることが分かっているのであれば、最初から拡張しやすい環境を選んでおくという考え方もあります。

つまり、開発会社がAWSなどのクラウドサーバーを提案するのは、「レンタルサーバーではシステムが動かないから」ではなく、そのシステムを安全かつ安定して運用するために、より適した環境を選んでいるからなのです。

2.サーバーのプランにはどんなものがある?

サーバーにはいくつかの種類があり、それぞれできることや自由度、管理の手間、費用などが異なります。
ここでは、Webシステムのインフラでよく使われる「レンタルサーバー」「クラウド」「VPS」の3種類について、簡単に見ていきましょう。

レンタルサーバー

代表例:エックスサーバー、ロリポップ、さくらのレンタルサーバーなど

レンタルサーバーは、1台のサーバーを複数のユーザーでシェアして借りるサービスです。
ホームページを作る際によく利用されているため、すでに契約している企業も多いと思います。
サーバーの基本的な設定や管理はサービス提供会社が行ってくれるため、比較的簡単に利用でき、費用も抑えやすいのが特徴です。

一方で、利用できる機能や設定には一定の制限があります。サーバーの構成を細かく変更したり、特殊なソフトウェアを自由にインストールしたりすることは難しい場合があります。

そのため、ホームページや比較的小規模なWebシステムなど、必要な環境がレンタルサーバーの仕様に収まる場合に向いています。

クラウド

代表例:AWS、Google Cloud、Microsoft Azureなど

クラウドは、システムの成長やアクセスの増減に合わせて、サーバーの性能や台数を柔軟に変更できるサービスです。

たとえば、利用者が増えたときにサーバーの性能を上げたり、複数のサーバーを組み合わせたり、データベースやバックアップなどのサービスを追加したりできます。

その一方で、自由度が高い分、設定や運用には専門的な知識が必要です。
また、使った分だけ支払う仕組みのため、アクセスが急増したり、設定を豪華にしすぎたりすると、レンタルサーバーより費用が高くなる場合があります。

アクセス数が多いシステムや、将来的な拡張を考えているシステムなど、柔軟性や拡張性が求められる場合に向いています。

VPS

代表例:さくらのVPS、ConoHa VPS、XServer VPSなど

VPSは「Virtual Private Server(仮想専用サーバー)」の略です。

1台の大きなサーバーをマンションのように部屋分けし、その1室を自由に使えるサービスです。

レンタルサーバーと比べると、OSやソフトウェアなどを自分で設定できる範囲が広く、柔軟性が高いのが特徴です。

一方で、その分、サーバーの設定やセキュリティ対策、アップデートなどを利用者側で管理する必要があります。
そのため、レンタルサーバーでは実現しにくい構成にしたいけれど、クラウドほど複雑な構成や大きな規模は必要ない、といったケースで選択肢になります。

それぞれの特徴

3種類の違いを簡単に整理すると下記のようになります。

レンタルサーバー VPS クラウド
費用 比較的安い 比較的安い~中程度 構成によって幅がある
柔軟性 低め 高い 高い
管理の手間 少ない 多い 構成によって異なる
拡張性 限定的 ある程度可能 高い
向いているケース ホームページ・小規模システム 柔軟な環境が必要なシステム 大規模・拡張性が必要なシステム

ただし、「クラウドだから大規模」「レンタルサーバーだから小規模」と単純に分けられるわけではありません。
重要なのは、システムに必要な性能・柔軟性・セキュリティ・運用方法などに合わせて、適したサーバーを選ぶことです。

では、実際に開発会社は、こうしたサーバーの中から何を基準に選んで提案しているのでしょうか。

3.開発会社はどんな基準で提案している?

サーバーを選ぶとき、開発会社は単純に価格の高いものを勧めているわけではありません。
システムを作った後も、長く安定して使い続けられるかという視点から、さまざまな条件を考えてサーバー環境を選んでいます。

たとえば、次のような点です。

安定して運用できるか

システムは、利用が始まった後も、安定して動き続ける必要があります。
利用者が増えたときやアクセスが集中したときにも問題なく動かせるか、必要な性能を確保できるかなどを考えます。

将来ユーザーが増えるか

現在は数十人しか使わないシステムでも、将来的に利用者が大きく増える可能性があります。
その場合、必要に応じて性能を上げられる環境にしておくということも考えます。

保守しやすいか

システムは、運用開始後もプログラムの修正やアップデートなどの保守が必要になります。
サーバーの設定やソフトウェアのバージョンアップがしやすいかなども、サーバー選びの判断材料になります。

障害が起きたときに復旧しやすいか

万が一サーバーやシステムに問題が起きたとき、どのように復旧できるかも考えておく必要があります。
バックアップを取りやすいか、別の環境に切り替えられるかなど、障害発生時の対応まで考えてサーバーを選ぶことがあります。

セキュリティ要件を満たせるか

一般公開する情報だけを扱うシステムと、顧客情報や社内の機密情報などを扱うシステムでは、求められるセキュリティ対策が異なります。
必要なアクセス制御や通信の保護、バックアップなど、そのシステムに求められるセキュリティ要件を満たせるかという点も重要です。

このように、開発会社は総合的に考えて、そのシステムに合ったサーバーを提案しています。
そのため、必ずしもAWSなどのクラウドを提案するとは限りません。

つまり、「高いサーバーを勧められた」のではなく、「そのシステムをどう運用していくか」を考えた結果として、そのサーバーが提案されていると考えると分かりやすいでしょう。

では、実際にはどのようなケースで、どのサーバーが選ばれるのでしょうか。次は、よくある4つのパターンを見ていきます。

4.よくある4つのパターン

ここまで、サーバーにはそれぞれ特徴があり、開発会社はシステムの規模や運用方法、将来性などを考えてサーバーを選んでいると説明してきました。

では、実際にはどのようなケースで、どのサーバーが選ばれるのでしょうか。
ここでは、よくある4つのパターンをご紹介します。

①レンタルサーバーで十分なケース

小規模なシステムで、利用者やアクセス数がそれほど多くない場合は、レンタルサーバーで十分なことがあります。

たとえば、

などです。

もちろん、レンタルサーバーの仕様によって利用できる機能や設定が異なるため、システムの要件を満たしているか確認する必要があります。

②最初からクラウドが良いケース

一方で、クラウド環境を用意したほうがよいケースもあります。

たとえば、

といったケースです。

このようなシステムでは、最初からクラウドを利用しておくことで、利用状況に応じてサーバーの性能や構成を変更しやすくなります。

また、システムの規模が大きくなると、Webサーバー、データベース、ファイル保存などを分けて構成することもあります。
こうした柔軟な構成が必要な場合は、最初からクラウドを選択するメリットがあります。

③レンタルサーバーで始めて、後からクラウドに移行するケース

「今は小規模だけれど、将来的には利用者が増えるかもしれない」という場合には、まずレンタルサーバーで始めて、必要になった段階でクラウドへ移行するという方法もあります。

たとえば、

というケースです。

この場合、最初から大きなサーバー環境を用意するのではなく、まずはレンタルサーバーでシステムを運用します。
そして、利用者やアクセス数が増えてレンタルサーバーでは対応しにくくなったら、クラウドへ移行します。

④VPS(仮想専用サーバー)が向いているケース

レンタルサーバーでは柔軟性が足りないけれど、クラウドほど大規模な環境は必要ない。
そんな場合には、VPSが選択肢になることがあります。

たとえば、

というケースです。

一方で、柔軟性が高い分、サーバーの設定やアップデート、セキュリティ対策などを自分たちで管理する必要があります。

5.打ち合わせで開発会社に確認したいこと

ここまで見てきたように、サーバーにはさまざまな種類があり、どのサーバーが適しているかはシステムの規模や使い方、将来性などによって変わります。

そのため「なぜそのサーバーを選ぶのか」を開発会社に確認することが大切です。
以下に、打ち合わせで確認しておきたいことについてまとめました。

「なぜこのサーバーが最適なのですか?」

まず確認したいのが、「なぜこのサーバーを提案したのか」という理由です。

「このサーバーがおすすめです」と言われるよりも、利用人数やアクセス数、セキュリティ、将来の拡張性など、どのような理由でそのサーバーが選ばれているのかを確認することで、提案内容を理解しやすくなります。

「将来、サーバーを変更できますか?」

システムを長く使うのであれば、将来的にサーバーを変更できるかも確認しておきたいポイントです。

たとえば、最初はレンタルサーバーで十分だったとしても、利用者が増えれば、より高性能な環境が必要になるかもしれません。
そのときにクラウドなどへ移行できるのか、移行する場合にはどのくらいの作業が必要になるのかを確認しておくと安心です。

「障害やアップデートは誰が対応しますか?」

サーバーやシステムに障害が発生したときの対応や、OS・PHPなどのバージョンアップ、セキュリティ対応など、運用開始後にも作業が発生します。

そこで、

などを確認しておきましょう。

サーバー代だけを比較すると安く見えても、これらの作業を自社で行う必要があれば、その分の人件費や手間がかかります。

サーバーの料金だけではなく、運用・保守まで含めたコストを考えることが大切です。

まとめ

システムを開発するとき、「レンタルサーバーではなくAWSを使う」と聞くと、「本当にそこまで必要なの?」「サーバー代が高くなってしまうのでは?」と不安になるかもしれません。
しかし、システムに必要なサーバーは、単純に金額だけで決めるものではありません。

利用人数やアクセス数、セキュリティ、安定した運用、将来的な拡張性、障害が起きたときの復旧など、システムを長く使っていくために必要なことを総合的に考えて選ぶ必要があります。

大切なのは、「自社のシステムにはどれが合っているか」を考えることです。

サーバーは、システムを動かすための「土台」です。
そのため、開発後の運用や保守まで含めて、自社のシステムに合った環境を選ぶことが大切です。

「今使っているレンタルサーバーをそのまま使えるのか分からない」「AWSを提案されたけれど、本当に必要なのか判断できない」といった場合も、まずは開発会社に理由を聞いてみてください。

株式会社パパグラムでは、システムの規模や利用方法、将来的な運用まで考慮し、お客様のシステムに合った環境をご提案しています。
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