「システムが古くなる」と言われても、具体的にどうなるのかイメージしづらいかもしれません。
実は、システムは何も手を加えずに使い続けているだけで、確実に古くなっていきます
見た目には問題なく動いていても、水面下ではさまざまなリスクが蓄積されているのです。

例えば、セキュリティの穴が放置されたり、最新ツールと連携できなくなったり、わずかな修正なのに多くの時間と費用がかかってしまったり、といった問題が発生します。

「動いているから大丈夫」と思っていると、ある日突然、大規模なシステム障害や予算を大きく超える改修費という形で、経営に大きな打撃を与えかねません。

このコラムでは、システムが古くなるとはどういう状態なのか、古くなったまま使い続けることで生じるリスク、そして見直すべき最適なタイミングについてわかりやすく解説します。

1.「システムが古くなる」の意味

古くなったシステム(レガシーシステム)とはどういう状態なのでしょうか。
「システムが古くなる」と言っても、パソコンの本体が傷ついたり、画面が色あせたりするわけではありません。
見た目には何も変わらないシステムが、なぜ「古く」なってしまうのでしょうか。

例えば、次のような状態は、システムが古くなっているサインといえます。

プログラムのサポート期限が終了している

システムを動かしているプログラミング言語やフレームワークには、サポート期限があります
サポート期限についての記事は「計画的な予算確保がカギ!PHP・Laravelバージョンアップの賢いタイミングとは」で詳しく説明しています。

サポートが終了すると、新しく見つかったセキュリティの抜け穴(脆弱性)を塞ぐための修正パッチが提供されないため、サイバー攻撃やウイルス感染の格好の標的になってしまうのです。

「今まで問題なく動いているから大丈夫」ではなく、問題が起きたときに守ってもらえない状態になっていることが大きなリスクです。

サーバーやOSとの互換性がなくなる

システムは単体で動いているのではなく、プログラムを動かし、データを預かり、外部からのアクセスに応え続ける「サーバー」と、その土台となる「OS」の上で動いています。

そして、この土台(OSやサーバー)も数年おきにバージョンアップします。土台が新しくなったとき、古いシステムはその変化についていけず、「昨日まで動いていたのに、アップデートした途端にボタンが押せなくなった」「画面が崩れて操作できない」といった互換性の問題を引き起こします。

また、サーバーの移行や機器の入れ替えが難しくなったり、新しい機能を利用できなかったりと、運用上の制約がでてきます。

現在の業務に合わなくなる

システムを導入した時点では最適でも、数年経てば業務の流れや組織体制、社会のルール(法律など)が変わっていきます。
しかし、システムが当時のままで止まっていると、「システムに入力した後にエクセルで二重管理している」「手作業でのカバーが増えて、逆に手間がかかっている」という状態になることも少なくありません。
システム自体はエラーを出さずに動いていても、現在のルールや業務フローに合わなくなっている状態も「システムの老朽化」と言えます。

2.古いシステムを使い続けるリスク

第1章で紹介した3つの状態を放置し、古いシステムをそのまま使い続けると、企業はどのようなリスクを背負うことになるのでしょうか。

ここでは、古いシステムを使い続けることで起こりやすい主なリスクをご紹介します。

セキュリティリスクが高まる

プログラミング言語やフレームワークのサポートが終了すると、新たに見つかった脆弱性に対する修正プログラム(セキュリティアップデート)が提供されなくなります。

その結果、不正アクセスや情報漏洩などのリスクが高まり、企業の信用にも大きな影響を与える可能性があります。

インターネットに公開されているシステムはもちろん、社内システムであっても安心とは言えません。セキュリティ対策は、システムを長く安全に使い続けるための重要なポイントです。

障害時の復旧が難しい

システムに障害が発生したとき、古いシステムほど原因の特定や復旧に時間がかかる傾向があります。

長年改修を繰り返した結果、設計書が残っていなかったり、開発当時の担当者がすでに退職していたりするケースも少なくありません。

システムの中身が分かる人がいない「ブラックボックス化」が進むと、小さな不具合でも調査に多くの時間がかかり、業務が長期間止まってしまう可能性があります。また、復旧しても元の状態に戻せない場合もあります。

修正できるプログラマー・会社が少なくなる

古いシステムでは、あまり使われなくなった技術や古いバージョンで開発されていることがあります。

そのため、古い言語や技術を扱えるプログラマーや開発会社が年々減っていき、「保守を引き受けてもらえない」「見積もりが高額になる」といった問題が起こることもあります。

上記の「障害時の復旧が難しい」でも触れたとおり、システムの中身が分かる人がいない「ブラックボックス化」が進み、最悪の場合「不具合が起きても、誰も直せる人がいない」という状態になることもあります。

改修費が高くなる

開発当初はシンプルだったシステムも、エラーの改修や追加開発等で複雑さが積み重なっていきます。
古いシステムほど設計が複雑に絡み合っていて、一箇所の変更が予想外の場所にも影響しやすい状態になるのです。
また、古いシステムは、新しいシステムでは標準となっている実装とは違って、広範囲に影響が出やすい実装をしていることも珍しくありません。

そのため、「入力項目を1つ追加する」「表示文言を変更する」といった小さな修正でも、思わぬ不具合を防ぐために広い範囲の慎重な調査やテストが必要となり、結果として改修費用が高くなることがあります。

新しいサービスと連携できない

古いシステムでは、現在主流となっている外部サービスとの連携が難しくなる場合があります。
例えば、

といったサービスは、最新の暗号化通信(TLS 1.2以上)や OAuth認証、最新のPHPライブラリを前提としていることが増えています。

そのため、古いPHP5系や初期のPHP7系で構築されたシステムでは、

といった理由で、「新しい機能を追加したいのに連携できない」という状況が発生することがあります。

そのため、機能追加や業務改善の選択肢を狭めてしまい、ビジネスチャンスを失いかねません。

3.古いシステムを見直すタイミング(セルフチェックシート)

「システムを見直したほうがいい」と言われても、具体的にいつ判断すればよいのか迷う企業は少なくありません。

次の項目に当てはまるものがあれば、システムの見直しを検討するタイミングかもしれません。

1つでも当てはまるからといって、すぐにシステムを作り直す必要があるとは限りません。しかし、複数当てはまる場合は、大きなトラブルが起きる前に具体的なリプレイス計画や予算の検討を始めるべきタイミングです。

システムは、問題が起きてから慌てて対応するよりも、計画的に見直すことでコストやリスクを抑えられるケースが多くあります

まとめ

システムが古くなるということは、単に「見た目が古い」「使いにくくなる」ということだけではありません。企業のセキュリティを脅かし、業務効率を低下させ、最悪の場合は経営に大きな打撃を与える目に見えないリスクそのものです。

だからこそ大切なのは、「壊れてから対応する」のではなく、「今のシステムがどのような状態なのか」を定期的に確認することが大切です。

システムは手入れ不要でずっと使い続けられるものではありません。導入後も定期的に保守を行い、セキュリティ対策や不具合の修正、プログラムの更新を続けることで、安全性や使いやすさを維持しながら長く運用できます。

もちろん、保守を続けていても、技術の進歩や業務の変化によって、いずれシステムを見直すタイミングは訪れます。
しかし、日頃から適切にメンテナンスを行っておくことで、突然のトラブルを防ぎやすくなり、結果的に将来のコストやリスクを抑えることにもつながります。

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