この記事の要約
データベースとは、必要なときにすぐ検索・抽出できるよう構造化されたデータの集まりです。代表的な方式には、表形式で管理するRDBと、柔軟にデータを扱えるNoSQLがあります。Excelでは扱えない大量データの処理や高速な検索、複数人での同時利用を支える、DXに欠かせない仕組みです。
私たちが日々利用しているWebサイトや業務システムの裏側では、さまざまなデータが保存・管理されています。
たとえば、顧客情報や商品情報、注文履歴、社員情報など、システムが扱うデータは多岐にわたります。
こうしたデータを整理して保存し、必要なときに取り出したり、更新したりするために欠かせないのが「データベース」です。
今回は、そんなデータベースの基本からデータベースの種類とそれぞれの特徴、そしてシステム開発におけるデータベースの必要性まで、わかりやすく解説します。
1.データベースとは何か
データベースとは、特定の条件に合わせて整理され、コンピュータ上で簡単に検索や抽出ができるように構造化されたデータの集まりのことです。
単にデータを詰め込んだ箱ではなく、必要な時に必要な情報をすぐに見つけ出せるように、あらかじめルールに従って整理整頓されている点が特徴です。
身近な例では、皆さんの「スマホの連絡先(アドレス帳)」が立派なデータベースです。「名前」「電話番号」「メールアドレス」という決まった枠組み(構造)に情報が整理されているため、友人の名前で検索すれば、瞬時にその人の連絡先を表示できます。
ビジネスにおけるデータベースもこれと同じ仕組みです。膨大な顧客情報や商品データをルール通りに整理しておくことで、システムやアプリを通じてスムーズに必要な情報を呼び出し、業務の効率化に役立てています。
そして、どのような形でデータを整理・管理するかによって、データベースにも種類があります。
代表的なのが、データを表形式で管理するRDB(リレーショナルデータベース)と、表形式にとらわれず柔軟にデータを管理するNoSQL(非リレーショナルデータベース)です。
次に、それぞれの特徴を見ていきましょう。
2.RDB(リレーショナルデータベース)
RDB(Relational Database:リレーショナルデータベース)は、多くの業務システムで利用されている代表的なデータベースです。
RDBの特徴
・表形式(テーブル)でデータを管理する
データは「行(レコード)」と「列(カラム)」で構成される、Excelのような2次元の表形式で管理されます。どこに何のデータが入るかが決まっているため、整理された状態でデータを蓄積できます。
・テーブル同士を関連付けられる
RDBの大きな特徴が、複数のテーブルを関連付けて管理できることです。例えば「顧客情報テーブル」と「注文履歴テーブル」を、「顧客ID」という共通の項目をキーにして紐づけることで、誰が・いつ・何をいくらで買ったのかを効率的に管理・分析できます。
・SQLという言語を使ってデータを操作する
RDBでは、SQL(Structured Query Language)という専用の言語を使って、データベースを操作します。
SQLは、データベースに保存されているデータを検索・追加・更新・削除するための言語です。
たとえば、
- 「東京都の顧客を検索する」
- 「新しい顧客を登録する」
- 「顧客の住所を変更する」
- 「不要になったデータを削除する」
といった操作を、SQLを使って行います。
・データの整合性を保ちやすい
RDBには、データの整合性を保ちやすいというメリットもあります。
たとえば、存在しない顧客IDを使って注文データを登録してしまったり、同じ顧客が重複して登録されてしまったりすると、システム内のデータに矛盾が生じます。
RDBでは、テーブル同士の関係やデータのルールを設定することで、このような矛盾が起こりにくいように管理できます。
RDBの代表例
RDBにはさまざまな製品があります。代表的なものとして、以下が挙げられます。
- MySQL
- PostgreSQL
- Oracle Database
- Microsoft SQL Server
これらは、それぞれ特徴や利用される環境に違いがありますが、いずれもRDBとして広く利用されています。
3.NoSQL(非リレーショナルデータベース)
NoSQL(Not Only SQL)とは、前章で解説したRDBとは異なる方式でデータを管理するデータベースの総称です。
従来のRDBだけでは処理しきれない膨大かつ多様なデータを扱うために誕生しました。
NoSQLの特徴
・大量のデータを扱いやすい
RDBとは異なる構造を採用することで、データの読み込み・書き込み処理を高速に行います。ビッグデータやリアルタイム性が求められるシステム(SNSやアクセス解析など)で威力を発揮します。
・システムの規模に応じてサーバーを増やしやすい
データの量が爆発的に増えた際、複数の安価なサーバーへデータを分散して管理する「水平拡張(スケールアウト)」が容易です。システムを止めることなく、必要に応じて柔軟に規模を拡張できます。
・データ構造の自由度が高い
RDBのようにあらかじめしっかりと決めた表の型を準備しておく必要がありません。
テキスト、画像、ログデータなど、形式が定まっていないデータもそのまま柔軟に蓄積できます。
新しい入力項目が増えてもデータベースの設定を変更する必要がないなどの強みがあります。
・用途に応じてさまざまな方式がある
NoSQLは単一の仕組みではなく、格納するデータの性質や用途に合わせて、最適なモデルを選択して利用します。
次に各方式の代表例を見てみましょう。
NoSQLの代表例
NoSQLにはいくつかの主要な方式があり、それぞれ得意分野が異なります。ここでは主な代表例として2つ紹介します。
・MongoDB(ドキュメント型)
JSONに似た「ドキュメント」という形式でデータを管理します。開発者が直感的に扱いやすく、企業のWebサービスやアプリ開発で最も広く使われているNoSQLの一つです。
・Redis / Amazon DynamoDB(キー・バリュー型)
「キー」と「値」のペアでデータを管理する、最もシンプルな方式です。Redisはデータをメモリ上に置くため応答が非常に速く、データの一時保存(キャッシュ)やセッション管理に使われます。DynamoDBはAWSのマネージドサービスで、データを永続的に保存しながら大規模なアクセスをさばく用途に向いています。
4.データベースが必要な理由
ここまで、データベースの基本とRDB・NoSQLの特徴について説明してきました。
では、なぜシステムにはデータベースが必要なのでしょうか。
単にデータを保存しておくだけなら、Excelやファイルでもよいように思えるかもしれません。
しかし、企業の業務システムやWebサービスでは、扱うデータの量や種類、利用する人数が増えるほど、Excelや単純なファイル管理だけでは対応が難しくなります。
現代のビジネスにおいて、データベースが不可欠と言われるには、以下の理由があります。
Excelでは扱えない量のデータを処理できる
Excelは手軽で優秀なツールですが、扱える行数に上限があり、データ量が増えると動作が極端に重くなります。
また、「数万人の顧客データ」と「数百万件の購買履歴」を複雑に掛け合わせて分析するような高度な処理は、Excelでは困難です。
データベースであれば、大量のデータでもスムーズに高度な集計や分析を安定して実行できます。
必要な情報をすぐに探し出せる
データベースの大きなメリットの一つが、大量のデータの中から必要な情報を効率よく検索できることです。
データベースには「インデックス(索引)」という仕組みが備わっており、膨大なデータの中から条件に合致する目当ての情報を、スムーズに探し出すことができます。
「今月購入された注文だけを抽出する」「電話番号で顧客を検索する」といった処理を、システム上ですばやく実行できるのです。
複数人が同時に使ってもデータが壊れない
Excelファイルを共有サーバーで開いた際、「他のユーザーが編集中です」と表示されて困った経験はないでしょうか。
データベースは、何百、何千人というユーザーが同時にデータの書き込みや更新を行っても、データが壊れたり矛盾が起きたりしないように同時実行制御(交通整理)を行います。2人のユーザーが同時に同じ商品をラスト1個で購入しようとした際にも、正確に処理を判定してデータの整合性を保ちます。
利用者ごとに表示内容を変えられる
現代のWebサービス(ECサイトや動画配信アプリなど)では、ユーザーごとに最適な情報を出し分ける「パーソナライズ」が必須です。
データベースがあるからこそ、「このユーザーの過去の閲覧履歴」や「好みの傾向」のデータを判別し、一人ひとりの画面に合わせたおすすめ商品をリアルタイムに表示させることができます。
まとめ
今回は、データベースの基本から、代表的な2つの方式であるRDBとNoSQL、そしてシステムにおけるデータベースの必要性について解説しました。
現代のビジネスにおいて、データは「ただ持っているだけ」では価値を生みません。
Excelの限界を超え、膨大なデータをスムーズに処理し、複数人での同時利用が可能なデータベースこそが、企業のDXを支える要素となります。
自社のビジネス特性や取り扱うデータの性質を見極め、システムに最適なデータベースを選択・活用していくことが、これからの市場競争を勝ち抜くための重要な鍵となるでしょう。